年金担保ローン(年金担保融資)
年金担保ローンは年金担保貸付制度や年金担保融資と呼ばれるものと同じです。
貸してくれる側が違うため、言い方はそれぞれ異なります。主に「年金担保貸付制度」と「恩給・共済年金担保融資」の2種類あります。
これは法律で唯一認められた担保融資制度です。
年金を担保とするため保証人が必要なく、お金を借りることができます。カードローンなどに比べてもかなり低金利というのも魅力的です。
どちらも給付ではなく、あくまでローンなので受け取ったあとは返済していかなければなりません。
年金担保貸付制度とは
年金担保貸付制度は年金を受給している人が利用できる公的融資のことです。独立行政法人福祉医療機構が事業を担っています。
厚生年金、国民年金、船員保険年金、労災年金(老齢年金、老齢基礎年金、遺族年金、障害年金のいずれも可)を担保にすることができます。
基本的に公序良俗に反することでなければどのような使い道でも理由は問いません。例えば生活費、家電購入、事業資金、教育資金、その他生活上の臨時出費以外にギャンブルに使うなどといったことでも利用することができます。
利用の条件(対象者)
・厚生年金保険年金証書、国民年金・厚生年金保険年金証書、船員保険年金証書、労働者災害補償保険年金証書のいずれかを持っていること
・老齢年金、障害年金、遺族年金の受給を受けている
・生活保護を受給していないこと
申込みに必要な物
・年金証書
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑登録証明書
・実印
・年金支給額がわかる書類(年金額改定通知書、年金振込通知書など)
・資金使途の確認書類
融資金額
10万円~200万円以内です。
ただ資金使途によって限度額が変わることもあります。
金利
年2.8%
平成30年10月に金利が上がったものの、それでも他の貸付よりもだいぶお得にお金を借りることができます。
返済方法
あくまでローンとしてお金を借りるわけです。ですから月々返済していかなければなりません。
返済は年金からの天引きとなります。
月々の返済金額は1万円からで、自分で設定することができます。
年金から返済分を天引きされて、残りが支給されますから多額の融資を受けたり、返済額を多くしたりすれば受け取れる金額は少なくなってしまいます。
そういったことまで考えて利用しなければなりません。目先のお金だけを考えて申請するのはやめましょう。
恩給・共済年金担保融資とは
恩給・共済年金担保融資は日本政策金融公庫が事業を担っています。元公務員など国の機関に勤務していた方が利用できます。
共済年金、共済組合が支給する厚生年金、恩給、災害補償年金を担保にお金が借りられます。
利用の条件
・恩給や災害補償年金を受けていて、恩給・共済年金担保融資を現在ご利用されていない方
・生活保護を受給していないこと
・恩給・共済年金担保融資を利用中に生活保護を受給し、生活保護廃止後5年経過していないこと
申込みに必要な物
ホームページ等に詳細が記載されていませんが、年金担保貸付制度と同じような書類が必要になると思われます。事前に準備しましょう。
融資金額
上限は250万円までです。担保とする年金の年額の3年分以内になります。
金利
年0.36%~年1.71%
このような低金利でお金を借りることができるのは非常に助かりますね。
返済方法
恩給や共済年金の支給額のうち一定額を返済金として公庫が先に受け取ります。その後、残りの年金が支給されます。こちらも年金担保貸付制度と同じく返済分が天引きされます。
あとのことまで考えて借りるようにしましょう。
年金担保ローンの手続き方法
1、福祉医療機構または日本政策金融公庫に利用したい旨相談します。まずは電話で相談してみましょう。また、銀行や信用金庫でも相談や手続きを行うことができます。どこで申し込みしても金利や返済方法は同じです。
2、それぞれ申込み先で指示された方法で申込みします。福祉医療機構は金融機関で申し込みとなるでしょう。
3、申込み後、審査されます。結果が出るまで3~4週間程度かかります。
4、融資が決定すれば、審査結果と融資実施日について事前に電話がきます。(融資できない場合も連絡がきます。)
5、融資金額が指定した自分の口座に振込みされます。
年金担保ローンの注意点
審査に時間がかかる
書類を提出してから審査が終わるまで、長いと1ヶ月程度かかります。
事情ですぐに現金が必要だとしても、早めてもらうことは難しいでしょう。現金が必要なことが分かっているなら早めに申請しましょう。
急ぎで現金が必要な場合、一旦別の方法で現金を調達し、こちらの融資が決定したらそちらの返済に回すといったやり方が良いかもしれません。
返済中は支給額が減額
年金担保ローンの利用後は、すぐに返済が始まります。
毎月支給される年金から返済額が引かれて、残りが手元に入ります。返済が終わるまでの間は、年金が減額されているようなもの。
自身の生活に支障がでないように、きちんと計画的に利用をましょう。
実際に返済が苦しくなり、結局、生活保護に頼らざる負えないといった方が増えているようです。
困ったときは強い味方となる
歳を取り、働くことができなくなったり、年金を受給するようになると、金融機関等での借入れの審査は通りづらくなります。
仕事による収入がなくなると、返済にも影響がでるため、お金を貸しもらうのも困難です。
けれど年金を担保として、低金利でお金を借りることができるのはとてもありがたい制度ですよね。
困ったときには強い味方となる制度です。
例えば、消費者金融など他の借入れがある場合、低金利ですから、こちらに借り換えするのも良い方法です。高い利息を払い続けるよりも年金担保ローンを使うほうが断然トクです。
年金担保ローンが終了?
年金担保貸付制度・労災年金担保貸付制度は閣議決定において廃止することが決定されてしまいました。
平成34年3月で申し込みが終了となっています。
このような便利な制度がなくなるのは非常に残念ですが、やはりこの融資を利用することで生活を圧迫し、生活保護などに走ってしまう方が増えていることも原因の1つといえます。
年金担保ローンに代わる制度が新たに発足されるわけではありません。今ある制度で代わる貸付制度もありますので、そういったものの利用が勧められています。
「生活福祉資金貸付制度」などが該当しますが、こちらは各自治体の社会福祉協議会が運営しています。自治体の自立相談支援窓口に相談しましょう。
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